用途変更が必要な場合って?

神奈川貸倉庫コラム

内装工事


前回のコラムでは『倉庫』や『工場』を『店舗』として使う場合には用途変更

手続きが必要になることと、実際に用途変更とはどういうものなのかお話しました。


今回は、実際にどのような場合に用途変更を行う必要があるのか見ていきましょう。



用途変更が必要なケースとは?



用途変更をするための手続きである「用途変更の確認申請」は、すべてのケースで

必要となるわけではありません。

実際に確認申請が必要となるのは、基本的に次の2つの条件に該当する場合なります。



①これまでの建物の用途を『特殊建築物』へ変更する場合

②用途を変える面積が200㎡を超える場合



『特殊建築物』とは、体育館・病院・劇場・展示場・百貨店・スポーツ練習場・

公衆浴場・旅館・工場・倉庫などがあります。

これは、建築基準法の第2条2項によって定められています。

そのため戸建住宅やオフィスなどの建物は、特殊建築物に当てはまりません。


また、元の使いみちと新しい使いみちが類似している場合(類似用途相互間)は、

手続きが不要となるケースもあります。

例えば、今まで映画館として使用していた建物を、新たに劇場として、図書館を

美術館として使用するといったような場合が該当します。

(建築基準法施行令第137条17参照)


また、用途変更は面積が200㎡を超える場合に手続きが必要になるため、逆に

いうと用途を変える面積が200㎡よりも狭い範囲の場合は手続きが不要となります。


このように、建物の使いみちを変更する場合に用途変更が必要かどうかは、状況に

よって異なるということです。


他にも注意すべき点として、どの「用途地域」に指定されているかも確認しましょう。

用途地域によっては、そのエリアでは開業できない業種などもあるので併せて確認

することをおすすめします。



倉庫を飲食店にしたらどうなる?



飲食店


では問題です!


今流行のリノベーションをして、倉庫(200㎡超)を飲食店の店舗やスポーツ施設に

する場合、はたして用途変更が必要になるのかどうか?



正解は用途変更が必要となります。


『飲食店』は建築基準法の第2条2項で、特殊建築物と定められており、また、映画館や

病院、ボーリング場・ゴルフの練習場などのスポーツ施設も、特殊建築物と定められて

います。


そのため、200㎡超の倉庫を上記のような施設に変えたい場合は、用途変更の手続きが

必要になります。


開業を考えている方や、倉庫を店舗として使いたいと検討している方は、用途変更の

手続きが必要になるかどうか、また、安全性を確認するためにも専門家である建築士

に調査を依頼しましょう。

また、用途変更の手続きができるのも建築士に限られます。そのため、建物の用途変更

を検討の際は、まず建築士に相談することをおすすめします。



用途変更不要の建物はそのまま使用可能?



用途変更が必要な2項目に該当しないから用途変更は不要、と考えてしまう人が多い

かもしれませんが、ここは注意しておくべきポイントです。

なぜなら、いくら用途変更の確認申請が不要でも、建物をそのまま使っても問題ない

とは限らないからです。


たとえば200㎡以下の倉庫を飲食店に変更する場合、倉庫と飲食店ではそもそもの

求められる建築基準が異なります。

建物の構造や消防設備という観点で、飲食店の安全基準というものを満たすためには

建築基準法をしっかりと守る必要があります。


そのため、いくら用途変更が不要なケースで手続きが不要でも、元々の用途と異なった

使い方をする際は、一度建築士に建物の調査を依頼した方が良いでしょう。


【用途変更が必要な場合って?】まとめ


いかがだったでしょうか。

今回は用途変更が必要な具体的なケースについてお話しました。



ただ注意しておきたいのが、元々の使い方と違う使い方をする場合は用途変更以外にも

確認すべき点がいくつもあるということです。

“用途変更手続きは不要だけど用途地域の制限でこのエリアではこの業種は開業できない”

など、ケースバイケースで変わってくることも多々ありますので事前にしっかりと専門の

方に相談することが大切になってきます。


次回は用途変更についてもう少し踏み込んで、用途変更の「申請方法」や「検査済証」に

ついてお話したいと思います。




倉庫や工場の用途を変えたいけど…。